日没

 

 お金の無い若い頃、貧乏旅行を繰り返していましたが、まるっきり知らない街で今夜の宿の当てが無い。非常に心細く、時に心折れそうになりました。

 

 夏場、男なら最悪『野宿』も可能なので其れ程気になりませんけど、冬なんぞに旅した物なら……。

 

 それも『ヒッチハイク』やら『青春18きっぷ』なんかの移動手段と、『ユースホステル』の宿泊。一応は『ユースガイド』などの本を持参して泊まれそうな『ユース』を探すのですけど、移動に時間がかかり予定していた町まで辿り着けなかったりすると急遽宿を探さなきゃいけない。(当時は予約なしでも空きさえあれば泊めてくれた)

 

 昔は経営が『お寺』の『ユース』なども多く『1泊2食¥1200』で泊れた記憶が在ります。(現在は宿坊として人気が在り¥10000でも難しい)

 

 夕闇迫る駅前の公衆電話で近い処の『ユース』に電話するも「満員です」と断られ続け、やっと探し出した『ユースホステル』までバスで移動するのですが、そのバスを待つ間の心細い事。

 

 食事に行くのか笑顔の家族連れが目の前を通り過ぎた時『マッチ売りの少女』が頭を過りました。周りが幸せそうなら尚の事自分の辛さが際立ってしまう。

 

 旭川の女子中学生いじめ事件の被害者は凍てつく真冬、凍死するまで公園で震えていたなんてニュースを読むと『独りぼっち』って辛いだろうなぁ。と思ってしまう。

 

 TVではしきりに『独りキャンプ』なんてのを持て囃してるけど、それは帰る場所が確保されているからであり、不便を楽しんでいられる余裕が在るからできる事。

 

 そもそも『ソロツーリング派』の私は『山』行きも単独行動ですけど、そりゃ仲間と行った方が絶対楽しいって。

 

 

 雨交じりの空でしたが、日没まじかに水平線に沈む夕日が見えてきました。

 

 車内アナウンスが流れ「本日はご乗車有り難うございます。只今日本海に沈む夕日が綺麗に車窓から見えています。暫くの間速度を落として走行しますので、展望席など譲り合ってのご利用お願いいたします……」 っても誰も席どきゃしない。

 

 私の右隣は若い女性の一人旅でカメラを向け辛いし。

 

 結局降車ドアの窓から撮影しました。

 

 ♪ 絞ったばかりの 夕日の赤が 水平線から 漏れている

 

 と口ずさみながら。

 

 余談ですが『夕日』と云えば思い出すのが『われら青春』のオープニングです。

 

 『いずみたくシンガーズ(後の青い三角定規)』の『帰らざる日の為に』が流れ出すと真っ赤夕日のアップの中に『われら青春!』と文字が浮かび上がる。(さっきYouTubeで観たら真っ赤な空に白色の太陽が燃えてました)

 

 ♪ 涙は心の汗だ たっぷり流してみようよ 二度と戻らない 今日の為に

 

 『青い三角定規』好きだったなぁ。