『アプト』とは何ぞや?
『鉄道好き』以外には馴染みのない言葉かも知れません。
列車が坂を登る時、『摩擦係数』の少ない『鉄のレール』と『鉄の車輪』同士では空回りしてしまう様な急勾配を登る為に考え出された方式で、線路の間にギザギザの溝を持つレールを敷き(ラックレール)、列車側に取りつけた『歯車』(ピニオンギア)を廻す事により急勾配を安全に走行する装置で、考案者の名前が『アプト』さん。
『ラック&ピニオン』は割と身近な処では、車のハンドル軸に『ピニオンギア』を取りつけ、全輪軸の『ラックギア』と組み合わせる事により『ハンドリング』をコントロールするする仕組みであったり、『顕微鏡』の調節装置に『ダイアル』(ピニオンギア)と『鏡体』(ラックレール)が使われたりしています。
現在でも『日本最大斜度』を登坂する『奥大井鉄道』に『アプト式鉄道』が使われています。
唯一の欠点は『音がうるさい』 まぁ安全優先ですから。
『横川駅』から続く『旧鉄道跡地=アプトの道』も足元にはいきなり『ラックレール』を発見。『グレーチング』代わりに敷かれていました。
この横になって寝かせてある凸凹のレールを立て、数枚を、溝の部分をずらして固定します。(必ずどこかの溝に歯車が噛み合う)
その為高速回転には不向きですが、ゆっくり確実に昇り降りできる仕組みです。
その後『信越本線』では『碓氷峠』を上り下りする為だけに開発された『機関車=EF63型』が投入されます。
鉄道に使われる記号には決まりがあり、最初のアルファベットは『動輪軸数』を表します。
例えば『機関車D51』の『D』はアルファベットの四番目だから『動軸数』が四つ=鉄輪8個が動力をレールに伝えます。
『EF63』では、一番初めの『E』は『Elecitoric』の事で『電気機関車』を意味します。続く『F』 六番目ですので『動軸6本=鉄輪数12』、『63』は開発番号です。
そして驚く事に、常時『二両連結』で運用されました。つまり動軸12本=鉄輪数24』
北海道原野を走るSLの写真などで、『機関車』を『二重連・三重連』にして走るのを見た事ありますけどド迫力だろうなぁ。(トンネル内は地獄だろうけど)
鉄道で通常の坂道を上り下りする際、『機関車及び運転席』は坂下側に連結します。此れは万が一連結器が外れても制御する為です。
ごく稀に車両の前後に『機関車』を連結し、前の機関車で引っ張り、後ろの機関車で後押しする方式も在ります。終点で機関車を付け替える事無く発車できる利点が在ります。
更に雪国では機関車の前に『ラッセル車』を連結する場合も『重連』にあたります。
『サスペンション』の前後に軸が在ります。
『横川駅』では、今まで引っ張って来た機関車を切り離し、『碓氷峠専用』の『EF63』二重連を先頭に連結します。
この時間が10分程かかる為、乗客はホームに降りて身体を伸ばしたり、『名物・釜めし』を買ったりしました。
今から40年も前の話。信越本線『横川駅』で連結待ちの時間が在り、『窓』から身を乗り出して『立ち売り』のおじさんを呼び、競うように『釜めし』を買い求めました。
同じ作業が『軽井沢駅』でも在ったのに何故か駅弁を買った記憶が無い。
それだけ『釜めし』は旅行など『ハレの時』だけの食べ物でした。
流石に『お茶』はプラスチック容器の『急須型』に変わりましたけど、『缶入り茶』や『ペットボトル』の流通する前には有難かった。(環境ホルモンとか問題外の時代)
『益子焼』の釜(蓋付き)に入った『釜めし』、『おてふき』と『四角いプラスチック+紙蓋 香の物』 『妻楊枝入りお手元』らが 懸け紙と共に紐で縛られていて¥550。『プラスチックの急須』に入った『ティーバッグ(緑茶)』に熱湯を注いで¥50。(うろ覚え) 食べ終わった後も『益子焼の容器』が捨てられず家に持ち帰った記憶が在ります。結局捨てるんだけど………
『アプトの道』に現在『ラックレール』は在りませんが、『レール』そのものは残されています。こんなに狭い軌道だったんだ。
散策の前に、腹ごしらえしよっかな。と横川駅に行ってみたら………『立ち食い蕎麦』が営業していました。
平日昼間じゃお客さんも少ないだろうにと売り上げ協力。
「かけ蕎麦下さい。大盛で!」
この発車本数(同じ数の到着本数がある筈)じゃ経営は厳しいだろうに。でも営業を続けてくれている『おぎのやさん」に感謝です。
皆さんも『横川』近辺を車でお通りの際、『横川駅』の『立ち食い蕎麦』宜しくです。
経営は釜めし屋さんの『おぎのや』ですけど。