玄関はサッシの引き戸に代わってますが、建物は以前のまま。
靴を脱いで展示室へ。 1階は普通に生活空間や大広間が在り、此処で養蚕について学んだらしいです。

2階に上がると『蚕棚』が在りました。
今から50年も前になります。友達の家に遊びに行くと、友達は先ずお手伝いを終わらせないと遊べない。
そのお手伝いが『桑畑』から『桑の葉っぱ』を『背負い籠』一杯採ってくる事。
しょうがないから手伝いますよ。『ドドメ』と云われる『桑の実』食べ放題付きですから。
ただ『ドドメ色』と呼ばれる濃い暗褐色の果汁は、口の周りを紫色に変えますし、白いシャツなんかに着けようものなら絶対に色が落ちません。
その為、親からは食べちゃダメと言われてましたけど、お腹空かせた子供だからねぇ。で色が着いてすぐバレる。
その採ってきた『桑の葉っぱ』をこの『蚕棚』に敷き詰めまして、『蚕の幼虫』(白い毛虫)をバラバラと乗せる。
『蚕の幼虫』は本当にムシャムシャと音を立てて食べます。
それも観ている間に『桑の葉』を『虫食い模様』に変えていく。
あんまり見ていると「もう一回採ってこい」と言われそうなので慌てて逃げ出しましたけど。
『蚕の幼虫』が大きくなると『蚕蛾』に成るんですけど、その前段階『蛹・さなぎ』に成る為に『繭』を造り中に籠ります。
人間はこの『繭』から『絹糸』を造る為に『蚕の幼虫』を飼う訳です。
『蚕産農家』にとって現金収入の大事な手段ですので敬意を込めて『お蚕さん』と呼んでいました。(白い毛虫ですけど)

『蚕の幼虫』が大きくなって、桑の葉っぱを食べなくなると、そろそろ『蛹』になるべく『繭』を造る段階に来た証拠です。
この『種紙』の中に1匹ずつ『幼虫』を入れ『繭』を造らせます。
『繭』が出来たら哀れ熱湯で茹でられ『蛹』はご臨終。
『製糸機』や『糸車』に3・4本づつよられながら巻き取られていきます。
『繭』を完全に巻き取られた残りの『蛹』は『鯉の餌』となります。

『蚕蛾』が自然界で『繭』になったものを『天蚕』と呼びその『淡い緑色』は特に希少価値が高く、『総天蚕の着物』は1着で一千万円!とかするらしいです。
そそ『天蚕』佐久市東部の山間を歩いていて一度だけ見かけました。
ほのかな緑色が特徴です。

あと何万匹見つけたら一千万円になりますやら。